ホシザキグリーン財団研究報告書に、論文が掲載されました。
2019年11月に島根県松江市で漁獲されたナルトビエイについての記録論文が、ホシザキグリーン財団研究報告書第25号に掲載されました。
ナルトビエイは、2013年までは熱帯性のAetobatus flagellumと同定されていたのですが、
2013年に長崎大学の研究グループが新種であることを発表した種であります。
基本的には、九州沿岸から有明海、瀬戸内海に多く分布している種でありますが、
日本海でも、秋田県、新潟県、石川県(能登半島)、京都府、兵庫県、山口県からも採集記録がありました。
2019年11月に、島根県松江市の鳥取県との県境に位置する島根半島の定置網に本種が漁獲されたため、
島根県からの初報告として記録した論文になります。
論文中でも議論しましたが、漁業者によると本種は数年前から漁獲されるようになったとのこともあり、
今回が真新しいわけではなく、以前から島根県や鳥取県沿岸でも回遊していたことが予測されます。
ナルトビエイは、アサリなどの二枚貝を専食することから、二枚貝の食害生物として全国的に駆除がされている一方で、
環境省では、本種を純絶滅危惧種として扱っており、保護・保全も求められる種です。
今回、本種が漁獲された島根半島の近傍には、日本有数の汽水域であり、ヤマトシジミなど貝類資源が豊富な宍道湖と中海があることから、
本種の増加や汽水域の侵入等には今後注視していく必要があります。