アカエイの分布について

アカエイってどんな場所に生息しているの?

東南アジアから日本全域の沿岸域から汽水域(海水と淡水が混じりあう水域)に分布しています

アカエイは東南アジアから日本沿岸に分布しており、日本国内では北海道から沖縄まで広い範囲に分布しています。

また、アカエイは他のエイ類に比べ汽水域を好む傾向があり、河川の河口や汽水湖では頻繁に目にすることができます。

僕も夏に川の河口でアカエイを見つけたことがあるよ!!
けど、冬には見たことがないな~…

英太くん、いい気づきだね! 実は、アカエイの分布は季節に応じて変化するんだ。

アカエイは基本的に温かい水を好む生物で、水温が高くなる春から秋にかけては、出産や餌を求めて、汽水域や浅海域に多く分布します。

しかし、冬になると、水深の浅い汽水域や浅海域では水温が低すぎるため、海域または汽水域の深場へと移動して越冬します。

ちなみに、私の研究によると、低水温への耐性は、大型個体よりも小型個体の方が高く、0歳魚や1歳魚は水温が低くなっても汽水域や浅海域に留まる個体もいるようです。

この前、川でアカエイを目撃っていうニュースを見たんだけど…
アカエイって海の魚なのに、川でも生きれるの?

アカエイは川のような淡水環境であっても10日くらいは平気で生きれます。

これについては、私が行った実験を紹介しましょう。

アカエイが川にいた!や、アカエイが用水路を泳いでいた!など、海にいると思いがちなアカエイが淡水域にいるだけで、ニュースになったりしますが、先に述べましたように、アカエイは汽水域を好む種であり、淡水環境でも少しの間なら問題なく活動できます。

しかし、アカエイが淡水環境でどのくらいの間、問題なく生存できるのか?これについては実験をしてみないとわかりませんでした。

そこで、私は淡水環境でアカエイを飼育する実験を行い、淡水環境下でアカエイの活動に支障がでる期間を推定しました。

実験方法を簡単に下の図にまとめています。

実験の結果を以下に示しております。

実験の結果、アカエイ幼魚は17日間、淡水環境下で生残することができ、9日目までは、問題なく摂餌行動を行ったことが明らかとなりました。

一方で、10日目以降は、摂餌行動を行わず、体もやや膨張気味で調子が悪くなり、活動に支障が出ている様子が観察されました。

このことから、少なくともアカエイ幼魚の場合、10日程度であれば、淡水環境でも問題なく生残可能であることが推定されました。

幼魚と成魚で淡水への適応能力が異なる可能性もあるので、あくまでも幼魚に限っての話です。

私が研究を行っていた、島根県東部の宍道湖・中海周辺水域では、塩分が約3~7‰の宍道湖ではアカエイのみが分布し、塩分が約14~28‰の中海では、アカエイとツバクロエイが分布しています。一方で、海域ではアカエイ、ツバクロエイに加え、トビエイやホシエイ、イズヒメエイなど様々なエイ類が分布しています。このことからも、アカエイの広い塩分環境への適用能力が伺えますよね。