アカエイの語源について
生き物大好きな、英太くんは、先日水族館でアカエイを見て、ふとこう思いました…
「エイ」って普通に呼んでるけど… そもそもエイってなんでエイって呼ぶのだろう?
英太くんが疑問を持ったように、意外とエイがなぜエイと呼ばれるのか?その語源を知っている人は少ないと思います。
まず、エイという言葉について整理してみますと、アカエイをはじめ、トビエイやツバクロエイなど、〇〇エイと呼ばれる種が多く存在します。
すなわち、エイとはある生物群を指す言葉の総称であることがわかると思います。
ちなみに、エイは英語でRay(レイ)と呼ばれ、Stingray(アカエイの仲間)、Eagleray(トビエイの仲間)など、Rayもエイの総称になります。
それでは、なぜエイがエイと呼ばれるようになったのか? 考えていきましょう。
エイの語源には諸説あるので、今回は2つの書籍をもとに考察していきます。
エイの語源説その①
まず、江副 水城著の「魚名源」によると、「エイの形が葉っぱ(特にイチョウ)に似ており、
葉儀(イェイ)と呼ばれた」ことが語源であると紹介されています。
つまり、「形が葉っぱのような姿の魚」とういのがエイの語源であるという説です。
たしかに、秋になり、地面に落ちてるイチョウの木の葉っぱを見るとエイのような形をしています。
昔の人は、エイを見て、こう思ったのかもしれません。
なんと、かような葉儀(葉っぱのよう)な魚がいるのじゃの~…
よし、今日よりこの魚はイェイと呼ぶことにしよう…
これは、葉っぱのような魚「イェイ」が変化してエイとなった語源説になります。
エイの語源説その②
藤原 昌高著の「魚の便利帳」では、エイとは片辺(カタヘイ)、つまり片側だけになった魚というのが語源であると紹介されています。
この語源説も、大きくまとめると形からくる語源であることがわかります。
他の魚とは違って、エイ類はユニークな形をしているため、形が語源である説が多いのかもしれません。
これは、エイの形から「片側だけの魚」となった語源説になります。
エイの語源説その③
また、語源説②と同じ,藤原 昌高著の「魚の便利帳」では、アイヌ語で棘を「ai」、東北で刺されて痛いことを「アイ」と呼ぶことから、エイの尾棘を表現した「アイ」が変化して「エイ」になったといった説も紹介されています。
この語源説はこれまでの「エイの形」が語源となった説とは少し違うことがわかるかと思います。
確かに、アカエイは英語でRed Stingrayと呼ばれ、これを直訳すると、「赤いー刺すーエイ」となります。
アカエイは沿岸域から汽水域が主な生息域ですので、昔から人間と近い場所で生存してきていると思われます。
そのため、昔からエイの尾棘に刺される事故はあったと考えられ、特に事故のあった地域では、
危険生物として、棘の「ai」や、刺されて痛い「アイ」という名で呼ばれるようになったのかもしれません。
これは、エイの尾棘が危険であることから、棘(ai)、痛い(アイ)がエイとなった語源説になります。
アカエイの語源について
エイの語源は諸説あることが分かったけど、アカエイの語源は?なぜ赤いエイなの?
おそらく、体の色が他のエイ類よりも赤茶色であること、体盤腹側の縁辺部がオレンジ色であることからかな…
アカエイは、他のエイ類に比べ、体の色が赤茶色であることや、体盤腹側の縁辺部がオレンジ色であることから、アカエイと呼ばれるようになったと思われます。
また、これは自説になるのですが、アカエイを水揚げした後、体盤腹側を地面につけて保存すると、体盤腹側に血がたまり、白色のお腹が真っ赤に変わります。アカエイは昔から食用として流通していたため、食事処に運ばれるまでに、腹が真っ赤になっていたことも多かったかもしれません。私の自説は「腹が真っ赤になったエイでアカエイ」といった語言説であります。これは合っているかわかりませんが…(笑)
ちなみに、アカエイは英語でRed Stingrayと紹介しましたが、世界にはBlue Stingrayや、Yellow Stingrayという英名がついたアカエイの仲間もいます。
また、日本にはアカエイと似ているエイに、シロエイ(学名:Hemitrygon laevigata)というエイもいます。
語源を探るということは面白いですよね。エイの語源についても興味を持っていただけると嬉しいです。
参考図書①:江副 水城(2009)魚名源 .パレード出版.
参考図書②:藤原 昌高(2010)からだにおいしい魚の便利帳.高橋書店.
アカエイの語源についてはYouTubeでも解説しています。良かったら下記よりご視聴ください!